うさぎ島(大久野島)旅行記 その➀

 

 うさぎは卵を産まないはずなのに、キリスト教の重要な復活祭で「イースターエッグ」を運んできます 

 それは

 「うさぎが再生と復活・豊穣の象徴」だからなのだそうです

 日本では「神の使い」

 鳥取県には、「白兎神」がお祀りされている白兎神社があります

 白く輝く月で、うさぎがお餅をついている 

 皆様は、「うさぎ」にどんなイメージをお持ちでしょうか?

 私はというと、数百羽のうさぎが住んでいる「大久野島(うさぎ島)」に取り憑かれてしまったのか、いつの間にか20泊以上もしてしまいました

 何度も訪れていると、色々な出来事や、強烈に心に残った思い出があります

 一風変わった「うさぎ島旅行記」になりましたが、読んでいただければ幸いです

 

旅行記(珍道中)その① 

やんちゃなウサギの奇襲攻撃

よもや、なにものか」

に取り憑かれたのか❓

それとも、

海賊の生まれ変わり❓

 


 それは、節分が過ぎ、春の温かさを感じ始めた日のこと☼

忠海港のフェリーの時間に、間に合わせないと・・・」

 ほら貝のような母の言葉にせかされた父と私は、慌てて車に乗り込みました🚗

「この前行った時、外人さんが海辺のテーブルで菓子パンを食べていたよね 今日は天気もいいし、私たちも海を眺めながらランチしようよ」

 私たちは忠海港に行く途中、三原のイオンに立ち寄りました

「夕食までにお腹がすくように、昼食のパンは、一人1個だけよ」
 夕食はバイキングで、始まるのが5時半ごろから 
 普段は値段が高くてなかなか食べられないカンパチや瀬戸内海のタイのお刺身🐟      

 👨‍🍳ライブキッチンでは、焼きたての広島牛のサイコロステーキ、焼き牡蠣などが食べ放題なのです(^^♪

「え~💦でも、さすがにお腹がすくんじゃない?」

 父と私は、腹持ちの良さそうな🍔コロッケバーガーやホットドッグ、牛乳、コーヒーを買い求め、港へと急ぎました

 忠海港からフェリーに乗って15分🚢


 赤い桟橋が見えてくると、いよいよ大久野島に上陸🏝 

 

 港から休暇村まで送迎してくれるマイクロバスに乗ると、窓から眺めるうさぎたちの、それは愛らしいこと🐰 何度も訪れているはずなのに、初めて訪れる観光客のように、思わず「可愛い」と叫んで涙ぐんでしまったり・・・

 バスを降りた私たちは、海のそばのテーブルに移動しました

 この島は、いつもは海風が強いのですが、今日は頬に当たる風が心地よいほどのそよ風

 しかも、お天気に恵まれていて、冬なのに暖かい  

 テーブルの横には、鏡面のように穏やかな瀬戸内海が輝いている✨

 「まさに、天国だね~」

 テーブルにパンを並べて座ろうとした時、休暇村の前庭にいた数羽のうさぎが一目散に駆け寄って来ました

「まあ、なんて可愛いの💘そうだわ、うさぎさん達と一緒にランチしましょう(^^♪」

 そう言った瞬間、一羽のうさぎが「義経の八そう飛び」さながら、イス、テーブルの順にヒラリ、ヒラリと飛び移り、パンの包み紙を破ろうと「ガリガリ」とかじり始めました

📢「うさぎに人間の食べ物を与えないでください~」

 大久野島で繰り返し放送されている言葉が心の中でこだましました

 私たちはパンの包み紙を取り上げようとしましたが、他のうさぎ達も次々にテーブルの上に乗って来て、我先にパンの袋を奪おうと、ピョンピョンと跳ねまわったり、仲間同士でケンカしたりして暴れまわっています🐰🐇

 でも、私たちも負けてはいません

 荒っぽく包み紙を取り上げようとしました、が、まさにその瞬間、対岸にある

大三島″が目に飛び込んで来たのです

「えっ?大三島って、こんなにも近かったの?!」

 改めて感じた事なのですが、大久野島大三島が、あたかも太田川を挟んだ両岸のように近いのです

 以前、うさぎに水を配っておられた外人さんから聞いた言葉がよみがえって来ました

「困ったことに、大三島からイノシシが泳いでこの島に渡ってきたんですよ~💦」

イノシシが泳いできたのも、うなずけるほど、近いのです

 

 大三島は、日本総鎮守の「大山づみ神社」が鎮座する「神の島」として古から信仰され、日本最大の海賊「村上海賊」が本拠地とした由緒ある場所、パワースポットなのです

     
  聖なる島、大三島


 髪の毛が頬を打ちつける 強烈な海風が吹いて来た

 

 鏡面のようだった海に、白波がざわめいている

 

 海風が、うさぎ達の柔らかな毛に巻き付き、肌をさらす

 


 そう、この冷たい風は、大三島から吹いて来たのだ

 


 ここにいるうさぎ達に、何かが取り憑いたの?

 それとも、ここにいるうさぎ達は、海賊の生まれ変わり?

 

「リュックの中に、ペレットがあるから、早く出して‼」

 父のリュックから、慌てて餌を取り出すと、パンの袋と交換、という風に、うさぎの鼻先に与えた後、テーブルの下に誘導しました

 先ほどまでとは全く違い、餌をお行儀よく食べるうさぎ達のすがたは、まさに、

 「神に愛された天使」そのもの

 いつの間にか、風も穏やかになり、海も凪いでいました

 私達は、念願通りうさぎ達とのランチを堪能し、ゆっくりとコーヒーを楽しみました

 餌を全て平らげたうさぎ達の、あるものは、観光客のいる休暇村の芝生広場に移動して行きましたが、数羽のうさぎ達は私たちのテーブルの下で、コロンと横になってスヤスヤと眠り始めました

 人の足元にいるというのに、堂々と眠れるその姿は、まさに、

「略奪したどぶろくを抱えこんだまま眠りこけている海賊の姿」そのもの

(私達が、うるさく片づけていたり、立ち去ったりした後も、動じなかったうさぎさん達)


 芝生広場では、一瞬ですが ケンカが始まりました

 島のあちこちに、うさぎの毛が飛んでいます

耳や鼻に大けがをしているうさぎの姿など、ここでは珍しくありません

 自由でのびのび、ケンカなど日常茶飯事

やはり、ここにいるうさぎ達は、海賊の生まれ変わり?

 

 次の日、私たちは島を一周しました 

 いまだに島のあちこちには、毒ガス製造時による土壌汚染のため「立ち入り禁止」という札と綱が張られている場所があります

 戦時中、中国で、使用禁止だったはずの毒ガスが使用され、多数の死傷者を出したそうです

 毒ガス製造時に働いていた6800人もの人達が、後遺症で苦しんでいたのです

 そして、実験動物にされていたうさぎ達は、すべて処分されました


 戦後まで、大久野島は、存在自体を隠され、日本地図からも消された島だったのです

(昨年の4月に撮影した 桜の花びらが舞う中、慰霊碑の前にいるうさぎさん達と千羽鶴) 

 

 大三島から、忠海港行のフェリーが近づいてきました🚢

名残を惜しむように、さいごのペレットを子うさぎに与えました

 不謹慎ですが、私はうさぎがいなければ、この島に来ることも、この島で過去に起こった出来事も知ることはなかったでしょう

 

 大三島から吹く清澄な空気と、白い月が、仲良く青い空に浮かんでいます

 

 不思議な事に、島を出て行く時には、天使のように可愛いくて、やんちゃな海賊たちに、また、会いに来たくなってしまう衝動を抑えきれなくなるのです

 島々と、この海に住んでいる

なにものか」に取り憑かれてしまったのは、

     実は、なのです